Afleveringen

  • 前回、内定をもらった時の承諾などの電話連絡について、お話ししました。今回はメールでの対応についてお話ししたいと思います。

    電話もメールも基本的には、同じです。ただし、メールの場合は、返信の仕方に注意が必要だと思います。

    一つは「件名」です。新規のメールにすると、採用担当者が折角の返信をなかなか探せなかったりするので、件名は「RE:」のままでいいと思います。たとえば「採用結果のご連絡_○○株式会社」 とあれば、そのまま「RE: 採用結果のご連絡_○○株式会社」としておけば問題ありません。履歴を残しておくようにします。

    宛て名部分は、会社・部署名のあとに、担当者の名前。その際に、以前話したように「会社・部署名に「御中」は付けず、担当者のところに「様」をつけること。間違えないようしてください。

    本文は簡潔に。時候の挨拶などは必要ありません。「○○株式会社様におかれなしては、ますますご清祥のことと存じます」などは不要です。「○○日に、貴社採用試験を受けた○○でございます。この度は、内定の連絡を頂戴し、ありがとうございます。謹んで内定をお受けいたします。一日も早く、戦力となれるよう務めてまいります。今後とも宜しくお願い申し上げます。皆さまとお会いできますことを楽しみにしております。内定ご連絡のお礼とともに、ご挨拶を申し上げます」などとします。採用側の勘違いを防ぐため、面接の日付を入れておくようにします。

    さらに、確認したいことがあれば「今後の手続きなどについて、詳細をお知らせいただければ幸いです」としておけば、今後の流れもわかると思います。「今後の流れについて」という書き方をする人もいるんですが、「流れ」ってなんだ?という事にもなるので、具体的に「手続き」「入社前の準備」などと書いておいた方が担当者もわかりやすいと思います。

    それから、メールアドレスは、個人のものを使うこと。転職の場合に、現在勤めている会社のアドレスを使うのはNGです。必ず個人のメルアドを使ってください。誤字脱字などがないように、必ず読み返してください。会社名や担当者の名前を間違えたら致命的です。メールを書いたらすぐ送信しないで、30分ほど置いて再度読み直すこと。これ、重要です。原稿を書いたり校閲したりした経験からのアドバイスです。

    ◇◇◇

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  • 内定をもらった時の承諾などの連絡について、考えてみたいと思います。今回は、電話の場合について、お話ししていきます。

    相手から電話があったときの第一声はとても重要です。「はい、前田です」より「はい、前田でございます」という方が丁寧です。「〜でございます」は社会人として覚えておいてほしい言い方です。勤めてからも「○○会社総務部の△△でございます」と答えるのが常識です。クライアント。お客様に対する第一声で印象は変わります。

    学生時代は親しい友人同士としか話をしていないので、どんなやり取りであっても特段問題にはなりません。ところが、社会に出ると、全く知らない人から様々な要件の連絡が入ります。その時に、「です」より丁寧な言い回しとして「でございます」という言い方をスムーズにできるようにしておいた方がいいと思います。

    スマホなら、電話の相手がわかるので、それに応じてきちんと使い分ける練習をしておくべきでしょうね。

    電話が鳴って、就職試験を受けた会社だとわかったら「○○でございます」と言って、電話に出るんです。すると「〇〇株式会社〇〇部○○です。○○さまのお電話でお間違いないでしょうか」。概ねこんな感じで、内定の連絡がくると思うんです。ほんとうは「○○さまのお電話で間違いないでしょうか」という言い方もおかしいんだけどね。確認するなら「○○さまでいらっしゃいますか?」でいいはずなのね。「電話は関係ないでしょ」と思うんですが、そこは、ひとまず置いておきます。

    「選考の結果、ぜひ弊社で一緒に働いていただきたいと思い、連絡を差し上げました」とか、「選考の結果、採用させていただきたいと考えております」という様な感じで内定の連絡があります。

    その後に「ありがとうございます。どうぞ宜しくお願いいたします」とか「ありがとうございます。一日も早く貢献できるよう努めますので、宜しくお願いいたします」などのように答えれば、いいですよね。問題は、内定を保留する場合です。これは、ちょっと難しいでしょ。

    第一志望ではない場合もあると思うんです。転職の場合は、「退職時期について冗長とも相談をしたうえで正式な返答をしたいので、〇日ほどお時間を頂戴できないでしょうか」と答えればいいと思います。ただし、採用側は他社の採用状況を待っているんだな、とわかるので、不利に働く場合もあります。以前、転職の人に内定の連絡をしたら「入社を半年待ってほしい」と言われたんです。どうも、失業給付をもらってからという事だということがわかって、その時は「時期が合わないので」とお断りしたことがあります。

    新卒の場合は、「一つ結果を待っている企業があります。その結果を待ってから正式に返事を差し上げてもよろしいでしょうか」と正直に答えればいいと思います。そこで、嫌みを言うようなら、見切りを付けてもいいと思います。将来を左右することなので、自分の意思は通すべきだというのが僕の考えです。だって、会社の都合で急に内定を取り消される場合もあるのだから、そこは対等でいいと思います。

    内定承諾書にサインをしたあとも辞退できますが、その場合は、早めに連絡する方がいい。入社日ギリギリになると、迷惑をかけます。その時は、直接担当者に辞退を伝える様にしていください。断ることと謝ることは、社会人の大切な仕事ですから。

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  • Zijn er afleveringen die ontbreken?

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  • 前回、前々回に亘り「御」について、話をしてきました。きょうは、もう一つ「御中」について、お話ししたいと思います。メールや手紙を出すときに、宛て名の後に付ける「御中」や「様」の使い分けは、さほど迷わないかもしれませんね。

    会社、組織に宛ててメールや手紙を出すときには「御中」。人に宛てて出す時には「様」です。「御中」はもともと明治時代以前に、脇付として使われていた「人々御中(ひとびとおんなか)」の「人々」が省略された形です。

    「様」と「御中」を一緒に使うのは、いただけないので注意が必要です。たとえば「未來交創株式会社人事部 御中  前田安正様」は、NGです。「未來交創株式会社人事部 御中」もしくは「未來交創株式会社人事部 前田安正 様」とすべきです。

    会社・組織と人名の両方を書くときには、名前の部分に「様」を付けます。会社・組織に「御中」を付けてはいけません。

    人名の後に「様」と「殿」のどちらを付ければいいのか、にも迷うことがあるのではないでしょうか。「殿」は元々、お屋敷を指していたんです。お屋敷に住んでいる人は、地元の大物です。例えば大河ドラマにもなった「鎌倉殿」のように。直接名前を呼ぶのが失礼なので、大きな屋敷を名前の代わりにしていたんです。

    その「殿」が敬称になって名前にも付くようになったんです。ところが、平安時代に「殿」の敬意が落ちてきて、室町時代に「殿」より丁寧な言い方として「様」が使われるようになったのです。「様」は人の居場所、身分、氏名について敬意を表したので、官職には使わなかったんです。敬意の高さでいうと「様」「公」「殿」の順になるんです。

    江戸時代になると「様」が盛んに使われるようになって、ややカジュアルな感じで「さん」も増えてきました。「殿」のカジュアルな感じが「どん」です。奉公人に親しみを込めた言い方が丁稚どん、「西郷どん」の「どん」は、敬意を表す方言です。

    最近、初めてのメールに「さん」付で来る場合があるんだけれど、ここは「様」にすべきでしょうね。「殿」は公文書などで使われる敬称で、下位の人にしか使わないのが一般的です。

    医師に病院を紹介してもらうときに相手の医師に対し「○○先生机下」「○○先生御机下」「○○先生御侍史」などという書き方をします。「机下」は机の下や足元にそっと置きます、という意味。御侍史の侍史は、貴人のそばに控えている書記の意味で、直接渡すのは失礼なので、配下の方から取り次いでもらう、という意味になるのです。

    ちょっと、行き過ぎのような気もしますが、これは、医療関係の慣習のようなもので、一般的には使わないかもしれません。

    実は、こうした話が、ぱる出版から出した『ほめ本』に載っています。よろしければ、お読みください。

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  • 「御社」という言い方が、 相手の会社を敬っていうことばだということは、ご存じだと思うのです。同様の意味で「貴社」という言い方もあります。

    辞書を引くと御社も貴社も「相手方の神社や会社を敬う」ことで、同じ意味です。でも、使い分けがあるようなんです。御社が話しことばのときで、貴社が書きことばのときだというんです。この違い、ご存じでしたか?

    僕が入社試験を受けたころには、御社は使わなかったように思うんです。それで「御社」がいつから使われるようになったのかを調べてみました。大辞泉という辞書には、1990年代の始めころからと書いてありました。貴社は、同音の言葉が多いので、紛らわしいので、御社が、主に話し言葉において使われ始めたというんです。

    確かに同音のことばが多いかもしれません。「記者が汽車で帰社した」という早口ことばもありましたもんね。この場合の「記者」は新聞記者の記者、「汽車」は蒸気で走る、いわゆるSLのこと、「帰社した」は、出先から会社に戻ることです。紛らわしいと言えば紛らわしいかもしれません。

    話しことばでは、聞き間違いがないようにする、という配慮は必要です。だからと言って、話しことばに「貴社」を使ってはいけないわけではありません。ただ、中には、話しをしているときに「貴社を使うとは何事だ」と思う面接担当者もいるかもしれないので、いまの時流に乗ることも必要ですね。僕自身はメールでは「御社」を使わないようにしています。

    ちなみに、銀行の場合は「御行」「貴行」、信用金庫=「御庫(御金庫)」「貴庫(貴金庫)」です。学校・学校法人=「御校」「貴校」、学校名が○○学園の場合は「御学園」「貴学園」だし、○○学院の場合は「御学院」「貴学院」としてもいいでしょうね。基本的に、頭に「御」「貴」をつければいいのですが、市役所、区役所の場合は「御庁」「貴庁」という言い方をします。

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  • 敬語って難しいですよね。僕も得意ではありません。間違って使ったことはないと思うのですが、完璧か、と言われると自信はありません。きょうは敬語の時に、ことばの最初に「お」をつけるのか「ご」をつけるのか、について考えていきたいと思います。

    「ご」も「お」も漢字で書くと「御」です。「ご」は、おもに漢語の名詞などに付いて、尊敬の意を表します。「ご意見を尊重します」「ご両親」「ご家庭のみなさま」といった類いです。

    動作を表す漢語にも付きます。人の行為に対する尊敬の意を表す。「ご帰国なさる」「ご説明くださる」といった使い方です。「ご案内申しあげる」「ご招待いたします」「ご紹介する」の場合は、相手を敬って、自分の行為をへりくだっていう言い方です。漢語の名詞に付いて,丁寧・上品にいう場合もあります。「ご飯」「ご馳走」がそうです。

    「お」は、おもに和語の名詞などについて、敬意を表します。名詞に付くと敬意だけではなく、相手のもの、相手に関するものであることを表すします。「あの方のお帽子」「お子様」などです。「お茶」「おしるこ」などは、丁寧な言い方です。

    「なさる」「になる」「遊ばす」「くださる」「いただく」「だ」などの語がついて、その動作の主に対する敬意を表します。「なさる」だと「おいでなさる」、「になる」は「お世話になる」、「あそばす」だと「お読みあそばす」、「くださる」だと「お書きくださる」、「いただく」だと「お越しいただく」、「だ」の場合は「社長がお呼びだ」なんて具合です。

    お客さんにお茶などを出して「お飲みください」っていうでしょ。まあ、間違いではないかもしれないけれど「どうぞ、おあがりください」って言うと、ちょっとできるな、と思われるかもしれません。「あがる」は「飲む」「食べる」の尊敬語です。

    漢語と和語という言い方が難しければ、漢語が音読み、和語が訓読みだと思っているとまあまあ、間違いはないと思う。原則として音読みの前には「ご」、訓読みの前には「お」がつくと覚えておくといいと思います。

    とはいえ、何にでも例外はあるから注意してください。「もっとも」「ゆっくり」などは和語、訓読みですが、「おもっとも」「おゆっくり」とは言わず「ごもっとも」「ごゆっくり」となります。漢語、音読みでも「お掃除」「お洗濯」「お散歩」となります。この場合は、美化語の類いです。

    メールや面接で敬語を間違えると、社会人としての常識を疑われるから、気をつけるようにしましょう。脇を固めておくことは大切ですから。

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  • メールの書き方って気になりませんか? 初めてのメールなのに、自分の名前をフルネームで書いてこない人が結構いるんです。しかも、署名部分も名字だけだとなると、返信のときに、相手の名前をフルネームで書けないので困ることがあります。

    以前、メールを頂戴した方に直接連絡を取る必要があって、電話をしたことがあります。そうしたら、同姓の人が何人かいたらしく、フルネームがわからないので相手が見付からないということがありました。電話口で対応してくれた方も戸惑っていました。

    毎日、何通かメールが届くのですが、ほとんどがメールの初めに「いつもお世話になっております。○○会社の××です」って書いてあるんです。会社名とか所属部署は書いているのに、名前がフルネームじゃない。これってどういう意識なんだろうって考えてしまいます。

    採用面接の挨拶’でも「○○大学の××です」って、名字だけのことが多いんです。もっとも、エントリーシートを手元で見ながら面接しているから、フルネームは必要ないといえばそうなんですが、それだと、出身校も名乗る必要はないということにもなりまし。最初の挨拶としては、きちんとフルネームで伝えるべきだと思うんです。

    新卒の面接では仕方ない部分もあると思うのですが、「○○会社の××です」という言い方は、ちょっと気になります。完全に組織の付属物のように感じてしまうのです。英語だと「I am Maeda form ○○」って紹介します。それをそのまま当てはめると、「消防署の方から来ました」っていう感じになるので、怪しさがでてくるだけれど・・・。

    ただ、フルネームを伝えないというのは、個人として存在することが難しい社会なのかな、と思ったりするのです。組織の中にいても、個人として立てるような社会になるといいのになあ、と思うんです。一気にこの状況を打破できるとは思わないのですが、フルネームを伝えるという意識を持てれば、少しずつ変わっていくのではないかな、と思うのです。

    メールの書き出しは、フルネームにすることから始めませんか?

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  • スポーツ選手には筋肉が必要です。大谷選手もそうですよね。ところが、筋肉はつければいいというものではないんです。パフォーマンスを出すためにきちんと使いこなせるものでないと、かえって体を痛める原因になってしまう。実は、ことばも同じで、使いこなせないと、とんでもないミスを犯すことにもなりかねないんです。

    業績シートをメールで送って来た人が、最後に「宜しくご拝受ください」って書いてきた例があります。ええ??って、我が目を疑ったことがあります。

    「拝受」は、受け取った側がその返事のときに使うもので、送る側が使うものではないんです。「拝受」の「拝」は、本来「ひざまずいてぬかずく礼」「組んだ両手を挙げて上体を曲げる礼」のことです。だから、敬意表すべき人に関わる自分の動作や行為の前につけて謙譲の意を表すことです。つまり「謹んで」という意味なんです。だから「宜しくご拝受ください」というのは、「ご」が尊敬語で「拝受」が謙譲語というふうにねじれているのです。

    「拝受」ということばを知っていても、どういう場面で使うのかがわからないと言葉が機能しないし、常識を疑われてしまいます。業績シートにどんないいことが書かれていても、素直にキャリアを認めてもらえないリスクを抱えてしまいます。

    冒頭に言ったように、使いこなせない筋肉をいくら身にまとっても仕方がありません。言葉も使いこなせて、はじめて、言葉として機能します。

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  • ことばって雰囲気で使っていることの方が多いすよね。「雰囲気」も「ふいんき」っていう人も多いそうです。私の母は、「ブランド」のことを「ブラインド」と言い間違えていたし、「雲泥の差」をなぜか「うんぜいのさ」って言っていました。

    言い間違えの類いは、日常会話なら笑っていられるのですが、就職や転職の場では。とんでもないことになる場合があります。ある人事担当者から、メールに書類を添付して提出してきた受験生が「宜しくご査収ください」と書くところを「宜しくご査証ください」って書いてきて驚いた、という話を聞いたことがあります。「査証は、VISAのことなのにねえ」って言うんです。

    「査収」は「金品・書類などを調べて受け取る」という意味です。「査証」は「調べて証明すること」です。「査」は「調べる」という意味があります。査収も査証も「調べる」という点では一致しています。「考査」は「調査して検討する」こと。つまり、「試験」という意味です。「捜査」は「「まさに調べること」です。

    ことばって周辺の言語環境に影響されるんです。その地方独自に流通することばを「方言」と言うんですが、これは「会社・組織」「仲間」の間のみで通用する単語や言い回しも含めて、「方言」と言っていいと思うんです。

    そこで使われることばを、いちいち辞書で確認することはないでしょ?だから、いったん覚えると共通言語になって、それっぽい状況で使ったりするんですね。

    せめて、就職や転職のときくらいは、いい感じのことばを使うときには辞書を引いた方がいいと思います。「査収」を「査証」と間違えると常識を疑われることにもなるので、注意しましょう。

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  • 最近、「〜だと思っていて・・・」という表現が気になります。「思っています」と言いきらないのでスッキリしないし、「思っていて」の後に、長々と理由や言い訳めいた話を続けるんです。これは、どういう話の構造なのだろうと気になります。

    「思います」というのは、いろいろな使い方がありますが、「〜と思う」という形で、話し手の個人的な判断や推量であることを示すものです。たとえば「その判断は正しいと思う」「明日は晴れると思う」というように、そこで文がいったん終わるはずなんです。ところが、「〜だと思っていて・・・」は、終わらないんです。

    面接で「その判断は正しいと思っていて・・・」と言われると、それが正しいという判断をしながら、その反論を言おうとしているのか、正しいとした判断の補足を言おうと思っているのかが、わからないんです。結論が出ているのか出ていないのかがわからない。つまり、自信がないんだな、と受け止められてしまいます。さらに言うと、話が長い、もっと端的に話してください、という印象になってしまいます。

    自分の意見を伝えるときには、はっきりと主張しなければなりません。英語の授業の時に「I think」を文末に言ったら、それは自信のない人との言い方なので、やめた方がいいと注意されたことがあります。堂々と「I think〜」と文の最初につけて話しなさいって言うんです。「と思っていて」は、それに似た感覚のようなのだと思います。

    面接は、ことばで自分をプレゼンする場です。そこでは、言うべきところは、はっきりと伝える、と言うのが基本です。相手の顔色を窺いながらおどおどと話していても、気持ちは通じません。ことばの最後はしっかり言い切るように心掛けましょう。

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  • 番組リニューアル後、早速、お便りを頂戴しました。常連のつみたて兄さんからです。いつもありがとうございます。テレビの食レポなどを見ていると、「早速、いただいてみたいと思います」という表現をよく聞くのだけれど、今すぐ食べるのだから「思います」というのは、おかしいのではないか、という内容です。

    つみたて兄さんは、企業の採用担当にも関わることがあるそうで、面接やエントリーシートの内容を見ていて、ことばの使い方について、度々気になってきたとのこと。細かなところだけれど、もうちょっと配慮すれば印象が変わるのに、もったいないなぁ、と思ってきたのだそうです。

    「早速、頂いてみたいと思います」に対する違和感のポイントの一つは、「みたい」の「たい」だと思うのです。「たい」というのは助動詞で、「面白い本が読みたい」「旅行に行きたい」というように「話し手の希望」を表すんです。

    「食べたいなら食べればいい」「勉強がしたくてもできない人がいる」となると「話して以外の人の希望」を表します。「ある」「である」などについて、他に対する願望を表す場合もあります。「〜してほしい」「〜であってほしい」という意味です。「健康でありたい」「犯罪のない町でありたい」とかいう具合です。

    少し先の未来をいうのが願望です。ですから「今すぐ行動する」のとでは時間軸が違うんです。その違和感だと思うんです。もう一つが「思う」です。これも「希望する」ことを言うので、「〜してみたいと思います」は「希望」を表すキーワードが二つ重なっているんです。それで、ますます時間のズレが起こるんです。

    面接などで「あなたはこの会社で何をしたいですか?」と聞かれれば「広報の仕事をしてみたいと思います」というのは、OKです。これは、将来の希望だからです。

    特定の役割を言わずに「何でもやりたいと思います」というと、受け身のスタンスだと思われます。この場合は「何でもやります」と言いきった方がいい。しかし、ある程度具体的な将来像を提示できないと、面接では弱いと思います。

    一方、会社などで仕事を頼まれて「すぐ取りかかってみたいと思います」と答えるのは、「すぐ」と「みたい」「思う」との時間がずれてしまいます。「すぐ取りかかります」で十分です。今すぐ行動するのに「〜したいと思う」というのがおかしいと思うのは、時間軸のズレが生じているからなのです。

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  • いまどきのエントリーシートは、パソコンでつくって会社に送付するのが一般的でしょうか。
    僕のころは、すべて手書きだったので、結構しんどい思いをしました。字も丁寧に書かなくちゃいけないし。

    校閲の試験を受けたときは、面接担当者から「君の字は読みやすいね」と言われました。くせ字だし決して上手くはないのですけどね。
    その質問の趣旨を入社後に聞いたら「校閲は乱雑な字を書くに人には向かないから」と 言われました。パソコンでエントリーシートを作成すると、字の丁寧さは測れないですね。その点、少し負担は軽くなっているのかもしれません。

    それでもそこに書かれている文章となると、常識が噴き出してくるんです。
    最近気になったニュースは何ですか」という質問項目に「僕的には・・・」と書いてきた受験者がいました

    僕も「ことばランド」や本では、「僕」を使うことがあります。ちょっと視聴者や読者に親しい感じを持ってもらいたいと思うからです。それでも、正式な場では「僕は」は使いません。

    もう一つ「僕的には」の「的」の使い方なんです。「僕的には」は「私としては」「私の意見としては」という意味だと思うんです。「的」を辞書で見てみると、主に物や人を表す名詞に付いて、それそのものではないが、それに似た性質をもっていることを表すんです。「百科事典的な知識」といった具合に使います。

    もう一つが、「ある観点や側面から見て」という意味を表すときに使われます。「学問的に間違っている」「事務的な配慮」っていう具合です。元々「的」は、中国の宋・元時代の俗語で、「の」の意味を表す助辞だったのです。明治以降、英語の -ticを有する形容詞の訳語に用いたことに始まる用法なんです automaticを「自動的に」と訳すような感じです。
    つまり、「僕的」は、どちらにも当てはまらない俗用なのです。

    俗用を使うことが悪いのではなく、公式の場に俗用を使う、あるいはそれが俗用であることを知らない、というのが問題なんです。つまり「常識がないな」と思われてしまうということです。知っていることばでも辞書を引いて確認することはとても重要なのです。ことばの常識は、未来の扉を開いてくれますから。

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  • 100回を超えたポッドキャストことばランドは、今回からシーズン2に入ります。オープニングも変わりました。「ことばで未来の扉をひらく」をコンセプトに、ことばから就職や転職、人事を考えていきます。

    シーズン1では、ことばの変遷などを眺めながら、その時代や社会のなかで生きていることばなどについて、ちょっとした蘊蓄や感想などをお伝えしてきました。いわば、ことばの教養についてのお話でした。今回から、実際の生活に役に立つ実用的なことばを取り上げていこうと思っています。

    先日、100回を記念して、スタッフ3人で小籠包を食べにいきました。そのときに、「もう少し、実践で役立つものにしてもいいかな」という話をしたんです。そうしたら、その2日後に知り合いから「エントリーシートが書けないで困っているという方がいるから相談に乗ってもらえないか」という話がきました。嘘みたいな話なんですが、時々そういう偶然が訪れることがあるんですねえ。だったら、いま就職活動とか転職を考えている人向けにお話ししようかな、と思い立ったわけです。

    実は、10万部超の『マジ文章書けないんだけど』(大和書房)は、エントリーシートの書き方をベースに、自分が伝えるべきことを文章にする、つまり自己プレゼンテーションのつくり方の本でした。

    新聞社にいたころは、校閲採用の担当もしていました。1人ないしは、2、3人の採用に、100人を超える応募があって、その全てのエントリーシートを、部長の僕と部長代理の二人がそれぞれ読んで、書類選考するんです。朝から別室に缶詰めになって3日ほどかかる作業です。その結果を突き合わせると、評価が大体一致するんです。

    そんな経験も踏まえて、エントリーシートの書き方や面接対応などについて、ことばから考えていきたいと思います。ということで、今回はエントリーシート(ES)に絶対書いてはいけないことについて、お話しします。

    長所や短所などを各欄があると思うんです。そこに「これまでで一番辛かったことは何か」という欄があったとします。就活生だと大体「浪人してしまった」「部活で失敗してしまった」という内容が多いんです。ところが、絶対書いてはいけないのは、面接担当が質問できないような内容です。

    たとえば、付き合っていた人からDVを受けたというような、あまりにもプライベートに踏み込みすぎる内容についてです。面接で何を聞けばいいのか、面接委員も戸惑ってしまいます。
    警察は呼んだのかとか、その後どうなったのかなどなど、不安が頭をよぎりますが、これは就職での面接とは趣旨が異なります。
    やはり、プライベートに踏み込みすぎるエピソードは、避けておくべきだと思うのです。

    ◇◇
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  • 「茶摘み」っていう歌に「夏も近づく八十八夜」という歌詞があります。この歌は、1912年(明治45年)に刊行された『尋常小学唱歌・第三学年用』に載っていたものです。八十八夜っていつから数えてなのか、わかりますか? 

    八十八夜は、雑節の中の一つです。立春から88日目の日。現行の太陽暦では5月2日頃のことです。茶摘み・養蚕など、農作業で農家は忙しいとされます。雑節は、二十四節気以外の季節の移り変わりの目安となる日の総称なんです。他にも土用とか、節分、お彼岸、入梅、半夏生、二百十日などがあります。二十四節気は、立春、雨水、啓蟄とか季節ごとに6つずつ設けられています。二百十日は、台風が来る季節だよ、ということを教えてくれるサインにもなっています。

    二十四節気の立夏は、5月6日ころ。ここから夏の季節が始まるというのです。八十八夜が過ぎて、夏がやってくるということです。だから「夏も近づく」なんです。暦の上で梅雨期に入る日を入梅(にゅうばい)といい、これが6月11日頃です。日本は、自然の動きをよく見て、季節を感じ仕事をしていたんですね。

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  • 先日、「伝わる文章がすぐ書ける接続詞のコツ」の出版セミナーを開きました。150人を超える応募があって、たくさんの方が参加してくださいました。ありがとうございました。

    その時に、20近い質問を頂戴したんです。そのなかで「会社に提出する文書は、難しく書いた方がいいだろうか」というのがありました。この感覚、わかるような気がしますよね。

    文章を書くときに、どうしても権威づけするような感じになるんですよね。そのため、わかりやすく優しい文章だと、子どもっぽいと思われるのではいか、という疑心暗鬼がもたらす誤解なんです。

    むしろ、難しく書けるのならそれでもいいと思うのですが、大抵は失敗するんです。難しく書いているつもりが、まったく内容の伝わらない文章になってしまうからです。難しくて理解される文章を書くなんて、相当の腕がないと書けません。僕らレベルなら、わかりやすく簡潔に書く方が、よほど楽なんですよね。

    これとよく似たことを言われるのがオノマトペです。オノマトペを使うと子どもっぽい文章になるって言うんです。これもある種の偏見です。宮沢賢治の文章が子どもっぽいとは思えないしね。『グスコーブドリの伝記』なんて、1932年に書かれているんだけど、いまの温暖化が示唆されているような話だしね。

    優しく書くということは、相手を思いやるということです。相手を思いやれない文章は、コミュニケーションとして破綻しているということにもなります。優しくわかりやすい文章の方が、書く側も読む側もストレスが少なくて済みます。
    そもそも、書くことってかなり力のいる仕事だからストレスが掛かるんです。もっと、肩の力を抜いて書いた方がいいと思うんだけどなあ。

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  • 僕は「出身」と言われると困りんです。辞書によれば、「出身」は、どこを経て現在に至ったか、ということで、出生地や卒業した学校、勤めたところ、社会階層なども含めたものなのですが、一般的には「生まれ育ったところ」というイメージで使われています。僕は、父が転勤族だったので、引っ越しも多く、出身と言われてもピンとこないんです。

    「地方」ということばがあります。最近では「地方創生」ということばもよく見聞きします。僕はこの「地方創生」っていうことばに、違和感があるのです。どの視点で見てるんだろうと思うんです。

    辞書を引くと「地方」は、「首都以外の地域」って書いてあるんです。どうも、中央集権型のお上的意識がプンプン匂ってくるんです。「地方創生」ということばにも、そういう感覚が漂っているような気がしてならないんです。「地方創生」の基本政策を定めた「まち・ひと・しごと創生法」にも「地方」について、明確に定義していないんです。

    僕は、町村議会の広報研修に行く機会が年に数回あります。そこで、確かに「まもなく過疎指定になる」という声も聞きます。2022年度には、総務省が「過疎地域」に指定する自治体が885市町村になりました。この制度は、1970年につくられて以来初めて、東京23区を除く全国1718市町村の半数を超えたんです。人的・経済的な差は広がっていることは間違いありません。

    しかし、東京23区もそのうち過疎になる区は出てくるだろうし、地方だけの問題じゃないはずなのに、なぜか地方創生と言っている。喫緊の課題かもしれないけど、人口は1年、2年で変わるものではない。20〜30年先を見越して考えるべきです。東京だけ生き延びても仕方ないですもんね。

    そこに受け継がれ、根付いた文化がいったん途絶えると、それを継承することができない。全てがなくなってもいい、という発想もあると思うんだけど、そこに生まれ育った人たちの拠り所って大切だと思います。震災などで家が失われても、やはりそこから離れて暮らすことに抵抗があるのは、当然だと思う。

    東京一極集中も危機管理の問題から考えても、危ない。少数での競争は激化するだろうし、幸せ指数は減ってしまう気がするなあ。「地方」ということばの新しい語釈を考えていくべき時代にきているかもしれない、そんな気がしています。

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  • トヨタ自動車は昨年度(2023年度)1年間のグループ全体の決算で、本業のもうけを示す営業利益が5兆3500億円余りとなり、日本の上場企業で初めて5兆円を超えたそうです。

    売り上げにあたる営業収益は、前の年度から21.4%増えて45兆953億円となり、過去最高を更新したんですって。すごいですね円安の利益があったとはいえ、ハイブリッド車を中心に販売が好調だったんだそうです。このトヨタ自動車の会社で使われてきたことばが、ビジネス用語になったものがいくつかあるんです。

    その一つに「カイゼン」ということばがあります。漢字の「改善」という言葉では、「悪い部分を良くする」という意味です。それに対して、トヨタではカタカナの「カイゼン」に「現状を満足せず、今よりもっと良くする」という意味を持たせているんだそうです。自ら課題を認識し、自ら対策を考え、改善していくということなんですね。このことばはローマ字表記として、「KAIZEN」として世界的にも活用されています。

    もう一つが「乾いた雑巾を絞る」です。これは、徹底的に無駄を省いて収益につなげるという意味で使われています。すごいですよね。問題が起こったときに「なぜを5回繰り返す」と言うのもあります。「なぜ」を5回繰り返して突き詰めて分析していけば、間違いの本質にたどり着くというんです。現場の責任者が泣き出すと言われるほどだそうです。これを「5WHY分析」と言ったりするんです。

    「見える化」ということばです。「システムを見える化する」というように、ビジネス用語として「見える化」というふうに使うでしょ。手元にある三省堂国語辞典第8版にも、「情報を、だれにでもわかる具体的な形にして示すこと」「何かが行われているかが、だれにでも、わかるようにする」という語釈が載っています。

    生産現場で何か問題が起こったら、誰にでも一目でもわかるようにして、問題解決につなげる」という意味で、1960年代には、使われていたようです。それが2000年代に入って、一般的に使われるようになったんですね。同じような言葉に「可視化」というのがありますが、それよりも「見える」ということばを使った方が、より具体的に感じますもんね。

    まさに、パナソニックの創業者松下幸之助のことばもそうですが、ことばが会社をつくる典型だと思います。優れた企業は、ことばを活かして、ことばに活かされているんだとつくづく思います。

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  • 「百は10の10倍」と辞書にあります。「もも」とも読みます。「百の説法も及ばぬ」 なんて言い方があるように「多くのもの。たくさんあること」などの意味もあります。ライオンを「百獣の王」と言います。「百獣」とは「たくさんの獣」の意味です。「議論百出」と言えば「数多くの意見が次々と出ること」。

    「百に一つ」は「ごくまれなことの例え」です。「予想は百に一つも当たったためしがない」なんて具合に使います。「百も承知」といえば、「じゅうぶんわかっていること」、さらに強調する時は「百も承知、二百も合点」なんて、ことば遊びのように用います。

    「色眼鏡」はいわゆる「サングラス」のように色つきの眼鏡のことですが、「先入観をもってものを見ること」という、ひゆとして使われることの方が多いと思います。

    ところが「百色眼鏡」というと「万華鏡」のことなんです。「百薬の長」と言えばお酒を褒めた言い方です。百というのは、多くの積み重ねを言って、一つの節目でもあるんです。これからもことばの面白さを少しずつでも、積み重ねて行きたいと思います。これからも、どうぞ宜しくお願いいたします。

    6月15日20時から、すばる舎主催の『伝わる文章がすぐ書ける接続詞のコツ』出版記念の無料セミナーを開きます。ご興味のある方は、下記のURLからお申し込みください。接続詞の話を交えながら、文章の書き方についてお話しします。
    https://subaru20240515.peatix.com/?lang=ja


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  • 天気は「下り坂」とは言うけれど、「上り坂」とは言わないですよね。Facebookで僕の先輩記者が「これは、なぜなんだろう」という疑問を投げかけていました。今回はこれについて、考えていきたいと思います。

    この先輩は、「地政学的に言えば、坂は上から歩く人には下り坂で、下から歩く人には上り坂だ。そこにいる人の立ち位置で表現が異なるだけで、本質は変わらない」って言うんです。
    確かに標高500メートルの場所が坂道だとして、そこにいる人が上るか下るかで表現が違います。ところが、標高500メートルにいるということは変わらないですよね。上に向かって歩くか、下に向かって歩くかという行動の違いについて、これをなぜ天気に使うのだろう、というんです。

    これの表現の背景をちょっと考えてみたらどうかな、と思うんです。例えば、雨の日に「天気が悪い」っていう言い方をしますよね。晴れの日は「いい天気」っていうでしょ。
    ところが、天気自体にいいも悪いもないはずです。「いい」というのは、僕たちにとって都合がいいとか、気分がいいとかいう感覚です。いわば主観です。晴ればかり続いて雨が降らなければ、雨乞いをするわけです。悪いものを呼び込むことになります。だから、天気がいい・悪いというのは、僕たちの主観のもんだいです。

    「天気がいい」というのは、僕たちの主観として「当然いいこと」だという認識というか刷り込みがあると思うのです。だから「天気がいい」ことが通常の立ち位置になっているということです。そこから天気が雨になれいば「天気が悪い」「下り坂」というマイナスのイメージが働くのではないか、というのが僕の考えなんです。

    逆の視点で言うと「天気がいい」ということが通常であれば、天気が回復することをいちいち「上り坂」という必要はないということになる。つまり、通常の立ち位置が「晴れ」なんですね。先輩の言うように、立ち位置をどこに置くかの違いかも知れません。

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  • 新入社員研修などが始まっているんでしょうか。そのうち上司に注意されたりするでしょ。その時の対処法をことばの観点からお伝えしようと思います。

    次の例をちょっと見てください。
    1)「僕のお弁当を友達に食べられた」
    2)「僕のお弁当を友達が食べた」
    この違い、わかりますか?

    1が「食べられた」だから受動態、受け身の言い方です。2は「食べた」だから能動態です。言い方の違いが精神的に大きな違いを生むんです。
    それは、受け身だと被害者意識が生まれると言うことです。「僕の大切なお弁当を、友達に食べられたなんて。腹が立つ!」っていう感じになるでしょ。
    「僕のお弁当を友達が食べた」だと、フラットな感じになります。「仕方ないなあ」という許容が生まれます。受け身の被害者意識が、意外に自分を追い詰めてしまうんです。
    普通「上司に怒られた」って言いますよね。この時点で、上司と自分に精神的な序列をつくっているんです。納得がいかないと「なんで私が・・・」って思い出して、夜も寝られなくなる。その結果、お酒や甘いものに走って、体がどんどん大きくなってしまうんです。

    「彼女に振られた」「彼氏に振られた」も同様です。こういった途端「私の何がわるかったのか」と、自分に落ち度があるかのような感覚に陥る。失恋のほとんどはこういう被害者感情が根っこにあるんです。

    これを受け身の表現ではなく能動態に変えるんです。「上司が私を怒った」「彼女が僕を振った」「彼氏が私を振った」と言い変えると、精神的にゆとりが生まれます。
    「上司が、何だかわからないことを言って怒ってる」「上司が怒ってる、だから何だって言うんだ?」みたいな感覚になるでしょ。「彼女が僕を振った。僕の良さがわからないんじゃ仕方ないか」「彼氏が私を振るなんて、残念なヤツだなあ」って感じに、スルーできるようになるんです。
    若い頃は、僕もよく怒られたけれど、心の中では「何を怒ってんだろうね。どうせ、そのうち異動でいなくなるし」と思っていました。

    これを、ノートでも手帳でもいいから、能動態で書きとめておきます。そして、そのうえにバッテン付ける。一種の魔封じです。結構精神的に楽になります。

    反省の材料だけ取り込めばいいんだから、怒られる筋合いじゃないんです。怒る人は怒っている自分に興奮しているだけだから。それと同じ土俵に乗る必要はないからね。

    ことばは上手に使わないとダメなんです。そのためにもことばの勉強をして、受動態の役割などを知っておくと引き出しが増える、ということです。受け身表現で被害者感情をつくり出す必要はないからね。

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  • 議論と論議、習慣と慣習、運命と命運、平和と和平、途中と中途、息子と子息、父親と親父、愛情と情愛のように、熟語の漢字をひっくり返しても成立することばがあります。これについて、調べてほしいという「つみたて兄さん」からのリクエストが届きました。今日は、これについて考えてみたいと思います。

    これについての研究はあまりないようなのですが、酒井芳徳さんという方が「可逆語を探す」という本を出しているくらいです。大きく分けて3つに分類できるようです。

    その1つは「逆にしても意味の変わらないもの」。

    「途中」と「中途」は「道の半ば」とか「物事が進行している中頃」という意味で変わらないですよね。意味は同じだけれど用法は違います。同じ意味では途上ということばもあります。
    「途中」は、広く、ものごとが始まってから終わるまでの間のどこかの点を指します。
    「中途」は、物事の進行が、まだ中ほどであり、まだ終わっていないという点に意味の中心が置かれているんです。

    2つ目が「意味を共有するか関連性の高いもの」。

    「議論」と「論議」は、意味は非常に近くて関連性がありますよね。「議論」は「それぞれの考えを述べて論じあうこと」で、「論議」は「ある事柄について意見を出し合うこと。意見をたたかわせること」という意味です。
    考えを述べたり意見を出し合ったりする部分は共通するんだけれど、「論議」の方が対立構造を持っているでしょ。この関係のことばが一番多いと思います。

    「習慣」は「長い間続けていること」、「慣習」は「長い間続けていることが慣わしになっていること」です。「運命」は「天命によって定められた人の運」とか「将来」のこと。「命運」は「ある事柄の存続にかかわる重大な運命」のことです。

    「平和」は「争いや心配事もなく穏やかであること」を言います。「和平」はそれに加えて「戦いをやめ、仲直りすること」を言います。「息子」は「自分の男のこども」を指し、「子息」は「人の息子」のことです。近い関係だけれど、わずかながらずれている感じです。

    そして3つ目が「入水」と「水入」のように「全く意味が変わるもの」。

    入水は太宰のように水中に身を投げることで、「水入」は、相撲で、相長く組み合ったまま勝負がつかないときに勝負を一時中断して、力士を土俵下で力水を与えてしばらく休ませること。読み方も違うけれどね。物干しと干物もこれと同じ。

    こういうことばがなぜ生まれたのか、ということはわからないのですが、「権利」ということばには、権力とそれに伴う利益という意味があるんですね。

    「荀子」という中国の戦国時代の思想書があって、そこに「権勢と利益」の意味で用いられるんです。荀子は性悪説を唱えた思想家なんです。権利に伴う利益が、しだいに利益を伴う権利になってきたんだと思うんです。それが「利権」というように、ひっくり返ったことばを生んで「権利」と使い分けられたんだと思います。
    「利権」は特に、業者が政治家・役人などと結び公的機関の財政・経済活動に便乗して手に入れる巨額の利益を伴う権利のことをいいます。 「可逆語」は、元々のことばに収まらない意味が生まれて、その関係の強さが生み出したことばではないか、と妄想しているのですが・・・。

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